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(1)若いもんには負けない

 私が若かった頃、実際に聞いたことのある「ベテランダイバー」と呼ばれる人達のセリフのうちで、気になったものをいくつか並べてみます。
「昨日今日インストラクターになったような若いもんじゃ危なくて」
「新米のインストラクターってのは、講習のやりかたがわかってんのかね」
「あそこのポイントは流れが強いから、そのへんのダイバーじゃ、ちょっとなあ」
などなど。

 だいたい素人のふりをして間の抜けた返事をしていたことが多いのですが、内心、「まさか、勝てそうな若いもんを選んで比べてるわけじゃないでしょうね?」などと、疑問に思ったものです。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「最近の若いもんは」という言葉はいつの時代にもあるもので、この言葉があるからこそ、おじさんたちは若い衆への対抗意識から、元気に生活できるという側面があります。
 かくいう私も「若いもんには負けない」と勘違いする年になってしまい、口が達者になるにつれ、ふと「優秀なダイバーからは遠ざかっているのかも知れない」と不安に感じることがあります。

 スクーバは競技スポーツではないので、スピードやテクニックを示す記録や勝敗が存在しません。増えることはあれ減ることのないタンクの本数は、個人の歴史としての価値はあっても、必ずしも習熟度を示すものではありません。経験が重要であるとは確かですが、比べる基準が曖昧なのをいいことに、初心者に悪影響を及ぼすような言い方は慎むべきだと思います。

 「気力」「体力」「能力」そして「心構え」などを省みる時、インストラクターは「今の自分は、果たして、若かったころの自分より優秀だと言えるのか」ということを考えてみるのがいいと思います。


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